晶子のお庭は虫づくし
大森拓郎さんの「タンポポの話」 |
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・タンポポは、キク科タンポポ属の総称。多年草。 世界に約400種、主として北半球の寒帯〜温帯の日当りのよい草原にはえる。 日本にも22種が野生。 なお、キク科は被子植物の約10%を占めシェア最大。 ・タンポポは、大きく分けると在来種(ニホンタンポポ)と外来種があり、現在、 都市に見られるのは殆どが帰化したセイヨウタンポポとその交雑種。 花の色は殆ど黄色であるが、白色(シロバナタンポポ:単為生殖)もある。 ・外来種セイヨウタンポポは、ヨーロッパ原産で世界中に帰化。 日本には明治(1868〜1912年)初めに北海道に入ったとされ、北海道に非常に多く、 葉が厚く花も大きい。これは、札幌農学校創立当時、アメリカ人教師が蔬菜用に 北アメリカから種子を入れ、それが逃げたもの。アカミタンポポもヨーロッパ原産で、 1918年に北海道に帰化したとされる。痩果(そうか)はセイヨウタンポポの灰褐色に対し 暗赤色から赤褐色。 |
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明らかにセイヨウタンポポとの交雑種 | ||
・在来種は、カントウタンポポ(関東中心に自生)、カンサイタンポポ(近畿中心に分布)、 ミヤマタンポポ(中部地方、日本海側の高山に生える)など、地名、植生場所がつくもの が多い。 ・タンポポ(漢字では「蒲公英」)の和名の由来は、古名が「鼓草」とのあるように、頭花 を鼓に見立て「タン・ポンポン」と音を真似たとするものが有力。茎の両端を切り水に浸すと 鼓の形になる、冠毛が「たんぽ槍」の形に似る、中国名の婆婆丁「ポポチン」から、などの説 もある。別名(方言)は多く、ニガナ(野菜として摘んでいた頃は“苦い”との意識から)、 クジナ、ヤケドハナなど数多く、詳しくは柳田国男著の「野草雑記」にある。 ・英国名では「ダンディライオン」(「ライオンの歯」:ギザギザした葉がライオンの牙を連想 させる)、フランス語では「ピッサリン」(「床の中で小便する」意で利尿剤として効果)。 花ことばは、子どもたちが冠毛のついた実を吹いて占いをしたことから「幸福を知らせる 花」、「神のお告げ」、「真心の愛」など。 |
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総苞片が反り返らないので在来種(セイヨウタンポポとの交雑があるようにも見える) | ||
・外来種と在来種の見分け方は、花期に総苞片が反り返っているのが外来種。 反り返っていないのが在来種。カントウタンポポは、総苞片に小さな三角状の突起が あり、総苞外片は総苞内片の半分以下の長さ。 ・セイヨウタンポポは、花が大きく年中咲き、単為生殖のため1株でも種子が出来、 しかも多くて小さく軽いため遠くへ飛び、環境破壊され土地に根付く(在来植物がしっかり 生える地域では増えない。環境破壊のバロメーターともなっている)。また、病害虫にも強 いので、分布速度が速い。これに対して在来種は、基本的には春にしか咲かず、 花も種子も小さく他花受粉で増える。 ・花が終わると花茎は曲がって横に倒れ、そう果が熟す頃には立ち上がって長く伸び、 総苞内片まで反り返って果実(綿毛<冠毛>のついた種子)を風で飛ばす [風散布の代表]。 ・冬場は成長点が地面近くに位置するロゼット型の生育型で、茎が非常に短く葉が 水平に広がっている。このため、表面の花や茎を刈っても容易に再び生え始める。 |
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在来種のタンポポ | ||
・頭花(また頭状花)は一つの花であるかのように見えるが、200前後(注)の舌状花が 円盤状に集まり形成(キク科植物共通の特徴)。日が当たると舌状花が開き陰ると閉じる。 舌状花は先に5歯があり1つに合着しているため1つの花びらをつけているように見える。 舌状花の中央部はめしべが伸び、おしべが計5本合着、舌状花の下端には子房があり、 その上部から白い冠毛が生える。 ・子どもたちの草花遊びでは、水・風車(茎の両端を切り水に浸すと反り返り、茎に松葉を 通して、水力または風力で回す)、草笛(茎を笛として吹く)。 ・ 花も葉も食べられる。苦味が特徴。摘み立ての新鮮なもので、天ぷら、和え物、 おひたし、生サラダ。そして、たんぽぽコーヒー(根を乾燥させて炒ったものがコーヒー の代用品)、タンポポ茶 (葉を乾燥させ、ハトムギ茶などと配合)。 ・根には健胃・利尿・催乳などの効果がある。 (2013.4.10大森) |
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タンポポの花茎で作った水車 |
2013.4.18更新
2014.5.14更新