晶子のお庭は虫づくし
虫こぶ(虫えい)について |
虫こぶ(虫えい)とは虫(昆虫とは限りませんが)などから出される何らかの刺激によって、植物の一部の細胞が増殖したり肥大したりして、異常な形状になったものをさします。(異常な形状には縮小したものも含まれます。)
虫えいはおもに新芽や新葉、蕾、花、根など、その年の新しくでたところへ(虫えいを作る)虫達が産卵して作られます。(もちろん例外もあります)
現在日本で確認されている虫えいは1,400種以上もあります。一番多いのはタマバエの仲間で全体の40パーセント以上を占め占めるそうです。タマバエは種類ごとに決まった植物に虫えいを作るので、虫えいだげでタマバエの名前も分かるそうです。
タマバエのおもな奇主植物は、ヤナギ科、ブナ科、スクノキ科、バラ科、マメ科、キク科などです。
虫えいを形成する生物
昆虫以外 ウィルス、マイコプラズマ、バクテリア、菌類、線虫類、ダニ類 |
昆虫類
タマバエ、タマバチ、アブラムシ、キジラミ、タマワタムシ、ハバチ、スカシバガ、 クダアザミウマ、アザミウマ、グンバイムシ、コナジラミ、カサアブラムシ、フィロキセラ、 カイガラムシ類、スカシバガ、小蛾類、ミバエ、キモグリバエ、ハナノミ、ホソクチゾウ、 ゾウムシ、コバチ類など |
虫えいの名前は、植物の種類と虫えいのできた場所や形なとで名前が決まります。名前の最後につくフシとは、えいを意味する言葉として、虫えい和名の語尾にフシをつけるようになったそうです。
例)
サルトリイバラハマキフシ
サルトリイバラ(植物名) ハ(葉、虫えいができた場所)
マキフシ(フシの形状)
葉身に形成される場合の名称 | |
ハフクレフシ | 葉身に形成されるさまざまな形の虫えいを包括的に含む名称 |
ハイボフシ、 ハクボミフシ |
葉表や葉裏が小さなイボ状やニキビ状に突出しており、 反対側は凹んでいるだけの開放型虫えい |
ハフクロフシ | 葉表や葉裏に、角状やこぶ状、舌状、半球状に突出している開放型の虫えい |
虫えいの形状によって名称もさまざまにつけられています。 例) ツノフシ(鳥帽子状))、トックリフシ(徳利状)、トサカフシ(とさか状)、ヒラタフシ(偏平)、 |
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コツノフシ ホソツノフシ フトツノフシ |
同じ角状虫えいでも大きさによって区別されています。 |
ケツノフシ ケタマフシ |
有毛の場合 |
ハウラコブフシ ハウラタマフシ |
葉裏のみに虫えいが形成されている場合。 |
ハミャクフクレフシ ハミャクコブフシ ハスジコブフシ |
葉脈の一部が膨れたり、葉表や葉裏にこぶ状に突出する虫えいで、 開放型と閉鎖型の両方があります。 |
ハマキフシ | 葉全体またはほぼ全体を巻いた形になっている虫えい |
ハオレフシ ハトジフシ |
一枚の葉または小葉が、葉表を中にして、中肋から二つ折りになっている虫えい。 |
ハチヂミフシ | 葉身のいたるところに袋状虫えいが形成されたり、葉巻状の虫えいが形成され、 葉が縮んだもの。 |
アブラムシは、一令幼虫が虫えいを形成しますが、中には虫えいの形成に失敗するもの多く、乗っ取りをするアブラムシもでてきます。種によっては最初から自分では虫こぶ(虫えい)を作らずに、ちゃっかり出来上がった虫こぶ(虫えい)を乗っ取るものもいます。虫こぶをめぐる戦いでは、ストローのような口で相手を刺して殺してしまうこともあり、チキン質で体を覆って武装しているアブラムシの幼虫もいるとか。虫こぶ(虫えい)はタイミングを逃すとうまく形成されず、また少しでいい場所を確保しないとなかなか難しいようです。
虫こぶの中にいれば安全が保証されたわけではないようで、寄生する側からみれば大きく大きく腫れ上がった虫こぶ(虫えい)は、ここに餌があるよと知らせてくれているようなもので、虫こぶに卵を産みにやってくるものもいます。寄生ではなくても、出来上がった虫こぶ(虫えい)に共同生活を始めるハチなど、虫にとって虫こぶ(虫えい)は魅力的な場所のようです。
後から来て同居を始めたハチですが、だいたいは虫こぶ(虫えい)を形成したものよりも、発育が早く虫こぶ(虫えい)を形成したものを餓死させてしまうことが多いようです。クヌギエダイガフシのように大型のものの場合は共存して発育を全うする場合もあります。
引用文献及び参考文献
日本原色虫えい図鑑 全国農村教育協会
日本動物大百科8 昆虫T 平凡社
たくさんのふしぎ傑作集 虫こぶはひみつのかくれが
福音館書店
自然の観察事典 アリマキ観察事典 偕成社